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さまざまな業界で、それぞれの目的に応じたIoTシステムの導入が進むにつれて、構成要素の一つであるIoTゲートウェイの活用が広がっています。当記事をご覧の方の中には、IoTシステムを導入するにあたり、IoTゲートウェイの役割や活用事例について知りたい方もいるでしょう。
そこで今回は、さまざまな業界で活用が進んでおりラインナップも拡充されているIoTゲートウェイについて、その役割や導入のメリットを、具体的な事例と共に解説します。IoTシステムを構築する際に、IoTゲートウェイについて知りたいという方は、参考にしていただけたらと思います。
IoTシステムは、センサなどのIoTデバイスやそれらを繋ぐネットワーク、また情報を集約し処理を行うサーバーが主な構成要素です。また、構築するシステムに応じてIoTゲートウェイの採用が効果的な場合もあります。
はじめに、IoTゲートウェイの役割や採用によるメリットを紹介します。
IoTゲートウェイは、IoTネットワーク内でセンサや情報端末、ウェアラブル機器などのIoTデバイスとサーバーとをつなぐ中継地点として機能する機器です。IoTデバイスにはそれぞれ通信プロトコルが設定されていますが、IoTゲートウェイを活用することにより、通信プロトコルの変換が可能なため、例えば「EtherCAT」と「EtherNet/IP」など、異なる通信プロトコルのデバイスを併用できます。
IoTデバイスを直接サーバーに接続する必要がなくなるため、インターネット接続機能が不要になります。通信機能や通信プロトコルの制限が緩和されるため、IoTシステムを構築する際に選定可能なデバイスの幅が広がり、低コストのデバイスを活用できます。
IoTゲートウェイを採用する代表的なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
順番に紹介します。
1つ目は、IoTゲートウェイが複数の通信プロトコルに対応できることです。通常、お互いに対応していない通信規格のIoTデバイスやサーバーを接続することはできませんが、IoTゲートウェイを採用することで、通信規格の変換ができ、制限が緩和されます。また、新規でデバイスを導入しなくても、今まで使用していたデバイスをIoTシステムに組み込める可能性もあります。
2つ目は、IoTデバイスを運用管理する際の負担を低減できることです。大規模なIoTシステムを構築する場合、接続するIoTデバイスが多くなりその運用には大きな負担が生じます。IoTゲートウェイを利用することで、サーバーに接続する機器がIoTゲートウェイに限定できるため、運用管理の負担が大きく減少します。
3つ目は、コストを抑えて手軽に導入できることです。接続可能なデバイス数や接続方式の違いで幅広い価格帯のIoTゲートウェイが用意されており、用途によっては1万円前後の安価な機器でも対応できるため、スモールスタートが可能です。
このように、IoTゲートウェイを活用することで構築するIoTシステムの構築コストや管理に関する負担を低減できます。
IoTゲートウェイはその活用方法が多様になってきているため、それぞれのニーズを満たすために豊富な種類が用意されています。ここでは、接続方式の違いや価格帯について紹介します。
IoTゲートウェイの接続方式は、主に有線方式と無線方式に分類でき、それぞれメリットが異なります。
有線方式は通信速度の速さや安定性がメリットに挙げられます。リアルタイム処理が必要な場合や一時的にでも通信が遮断されると不具合につながってしまうようなシステムの場合には、有線方式の採用が有力です。
一方でデバイスとゲートウェイ、ゲートウェイとネットワークを有線接続する必要があるため、設置場所に制限があり、場合によっては配線が煩雑になってしまう可能性があります。
無線方式のメリットは、無線接続が可能な場所であれば、設置場所を選ばないことです。設置場所に制限がある場合や多少の遅延が発生しても影響がない場合には、無線方式の方がシンプルな構成を実現できます。
ただし、有線接続に比べるとネットワークの安定性が低下してしまうため、ルーターを高性能な製品に変えるなどネットワークを強化する取り組みが必要になる場合があります。
それぞれのメリットを把握し、構築しようとするシステムにはどちらが適しているか、目的や環境に応じて判断することが重要です。
ニーズの高まりと共に、さまざまな企業がIoTゲートウェイ製品を発売しており、その機能や価格の選択肢は広がっています。
接続可能なデバイスの数や対応している通信規格が少ないなど、限定された用途が想定されているものは1万円前後から用意されています。一方で、多機能なハイグレードタイプは、10万円から50万円程度と高額です。
自社が必要とするIoTゲートウェイはどのようなものなのか明確にすることで、余分なコストをかけずにIoTゲートウェイを選定できます。選定を失敗しないためには、用途を明確にすると共に専門知識を持った方への相談も選択肢の一つです。
IoTゲートウェイの活用は、幅広い業種・業界に広がっています。例えば、ライフラインのスマートメーター化や河川の氾濫監視、製造業における自動生産ラインなどが活用先として挙げられます。
ここでは、さらに2つの事例について紹介します。
ビーコンは無線技術を用いた情報伝達の手段で、半径数メートルから数十メートルの範囲に信号を発信します。信号の発信範囲に、その信号を受信可能な端末があれば、受信した情報を集約し、サーバーなどに送信することが可能です。
IoTゲートウェイは、ビーコンから発信される信号の受信機、サーバーへの送信機として活用できます。例えば、遊園地や大規模なイベント会場では、入場者にビーコンを所持してもらい、入退場口やエリア内に設けたゲートにIoTゲートウェイを設置することでゲート通過の情報を収集し、人の流れを管理することが可能です。
応用例としては、工場での物流管理などが想定されます。現在地や動きを管理したい製品や自動輸送機器などにビーコンを取り付け、工場内の経路に受信機としてIoTゲートウェイを設置することで、位置管理が可能です。
IoTゲートウェイの中には、手のひらサイズの小さなものがあります。商業施設や工場などで設置場所に制約があったとしても、小型のIoTゲートウェイを選定すれば、導入に対するハードルはそれほど高くないでしょう。
製造業の工場ではさまざまな設備が導入されていますが、効率化や労働者の負荷改善を目的としてスマート工場化する取り組みが進んでいます。
例えば、複数の工場設備の稼働状況を一元管理する場合には、それぞれの設備で用いられている既存センサの情報を活用する手段が考えられます。しかし、それらのセンサにはネットワークへの通信機能はついていない場合があり、通信規格も統一されていません。
すべてのセンサを入れ替えるのはコストや品質確保の観点から、現実的ではありませんが、IoTゲートウェイを活用することで、課題を解決できる可能性があります。
IoTゲートウェイは異なる通信規格に対応しているため、各設備で使われているセンサをIoTゲートウェイに接続、集約し、IoTゲートウェイがサーバーに情報を送信します。管理者はサーバー上に集約された情報から、設備の稼働状況を確認できます。
IoTゲートウェイを活用することで、作業者の負担低減などメリットの大きい設備の一元管理を、コストを大きくかけずに実現できる可能性があります。
活用が広がっているIoTゲートウェイは、用途に合わせて活用できるように多くの企業がさまざまな機能、価格帯の製品を用意しています。適切なIoTゲートウェイを選定するためには、構築したいIoTシステムを明確にし、IoTゲートウェイをどう活用するのか事前に十分検討することが重要です。
今回紹介したような事例以外にもIoTゲートウェイが活用できるシーンは多くありますが、その実現には豊富な知識や経験が必要です。スムーズに導入をすすめるためには、十分な知見を持った専門家に相談するといいでしょう。