事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
IoTの活用により、ネットワーク上でさまざまなモノの位置情報が把握できるようになります。この記事では、IoTで位置情報を取得することにより、どのような活用事例やメリットがあるのかを解説します。
ネットワーク技術などの向上により、近年、ネットワーク上でさまざまなものを把握しようという動きがあります。
例えば、現実世界をそのままコンピュータ上に構築したような空間(バーチャルツイン)が目標の一つとされています。
このような世界では、人やモノ、環境をはじめとするさまざまなものの動きや数値が、ネットワークを介して確認できるようになります。それを実現するために欠かせないのがIoTです。
IoTとはInternet of Thingsの略で、モノとインターネットがつながることを意味します。かつてインターネットとつながるのは、パソコンなどの情報機器でしたが、IoTでは家電や設備機器、工作機械などの「モノ」がインターネットとつながるようになります。
IoTにより、例えば家にあるエアコンを外出先からスマートフォンで操作するといった遠隔操作や、工場にある工作機械の稼働状況をスマートフォンから確認できます。また、近くに居るタクシーの位置や、注文したピザを配達するバイクが今どこに居るかなど、移動するモノの位置情報を含めた情報も集められるようになります。
IoTでつながるモノは大きく分けて2種類に分けられます。操作系とセンサ系です。
操作系とは、ネットワークを介してモノを動かす仕組みです。いわゆる遠隔操作で、現場に行かなくても装置や設備、システムを動かす仕組みをいいます。
一方でセンサ系とは、遠くの状況を把握するものです。センサを用いて離れた場所の温度や湿度をネットワーク経由で確認したり、機械の稼働状況を確認したりできるようにします。IoTでつながるセンサの一つに、位置センサがあります。
位置センサとは、モノの位置を把握するために使うセンサです。建物内など狭い範囲では、工作機械でツールとワークの位置関係を把握するために使われたり、ワークや人の有無の検知に使われたりします。
工場内での人やモノの動きの記録なども行えます。また、屋外など広い範囲では、GPSのようにモノの位置を地図や図面上に表示するために使われます。
IoTと位置センサを組み合わせると、さまざまことができるようになります。
広い工場では、メンテナンス作業者や現場の責任者などがどこにいるか、すぐには分からない場合があります。
このような場合にも、IoTと位置センサを組み合わせれば、作業員がどこにいるかをネットワーク上から把握できるようになります。
主に物流の現場では、倉庫の中から在庫を探し出すのに多くの時間がかかるケースがあります。このような場合にも在庫に位置センサを取り付けておき、位置情報をネットワーク上に表示できるようになれば、在庫の位置をネットワーク上から確認できるようになります。
そのため、倉庫内をムダに歩き回る必要がなくなります。
バスやトラック、タクシーなどの位置をマップで確認できるようになります。
タクシーでは既にサービスとして導入されているケースもあり、近くのタクシーを効率よく呼ぶことができるようになっています。
宅配便のトラッキングサービスをさらに高度にできます。
宅配便を乗せた配送車の位置がマップ上に表示されれば、宅配便が届く時間の予測がつけやすくなります。
位置情報の活用には、狭い範囲と広い範囲があることは前述しました。ここでは位置情報の活用事例を、狭い範囲と広い範囲に分けて紹介していきます。
まずは工場内や倉庫内など、比較的狭い範囲での活用例を挙げていきます。狭い範囲での位置情報は、ToFセンサのような距離センサを活用する方法の他、端末の位置を室内のアンテナセンサなどで取得する方法があります。
物流の現場において、位置センサを用いてピッキング作業員の動きをネットワーク上に記録する方法があります。
この記録を元に、作業員の移動経路や移動時間、各場所での滞在時間などを倉庫の図面上に可視化します。これにより、作業員の動きのどこに無駄があるかが分かりやすくなり、倉庫内のレイアウト変更に活用できます。
自動搬送車は、搬送時に人の手を必要としないため、多くの工場で利用されています。しかし、安全上の理由や予期せぬトラブルにより無人エリアで搬送車が停止してしまうと、発見が遅れるという課題がありました。
そこで自動搬送車に位置センサを取り付け、IoTを使ってネットワーク上から位置情報を監視できるようにしました。さらに本来は停止しない場所に一定時間以上停止していた場合、アラートを出す仕組みを作りました。これにより、停止の発見を早めることができるようになりました。
また、工場の図面上に搬送車の位置情報を可視化することで、停止しやすい位置などが把握できるようになります。これにより搬送車が停止しにくいレイアウトに改善できるなど、さまざまな活用ができます。
オフィスで従業員が使用する端末に位置センサを取り付けたり、従業員に位置センサを持たせたりして、従業員の位置情報を取得できます。近年増加しているフリーアドレス形式のオフィスであっても、ネットワーク上から誰がどこにいるか確認できるようになります。
さらに、従業員の勤怠管理や、誰と誰が近くにいたかを確認できるようになるため、感染症対策などの観点から、同じ空間にいた従業員や一緒にいた時間などが割り出せるようになります。
広い範囲で位置情報を取得する場合には、GPSやGNSS*情報などを活用します。事業所がある地域や日本全域など、広い範囲での位置が確認できます。
GNSS:Global Navigation Satellite System(全地球衛星測位システム)は、米国のGPS、欧州のGalileo、ロシアのGLONASS、中国の北斗など、人工衛星を使った全地球規模の測位サービスの総称。
現在でも宅配便のトラッキングサービスはありますが「〇〇営業所通過」「輸送中」など、荷物のステータスまでしか追えないケースがほとんどです。しかし位置情報センサとIoTを活用すれば、マップ上で荷物の位置が確認できるようになり、さらに精度の高いトラッキングサービスが提供できるようになります。
オフィス用品を提供している商社や、プリンターのリースを行っている会社では、顧客に提供する業務用プリンターの位置情報と、各顧客が使用しているプリンターのインク残量をマップ上に表示する仕組みを活用しているケースがあります。
これによりプリンターのメンテナンスタイミングや、そのプリンターのある場所が可視化されるため、適切な営業タイミングや営業で回るルートが把握できるようになります。
土砂災害や地すべりが発生しやすい場所では、発生が懸念される観測点に位置センサを設置することで、ネットワーク上から観測点の変位がモニタリングできるようになります。
これにより、地すべりや土砂災害などの兆候を、現地に行かなくても事前に把握できるようになり、より安全に警戒情報を発信できるようになります。
位置センサとIoTを組み合わせて活用すると、いつ、どこに、何があり、どのように動いているかが可視化できるようになります。この情報を活用することで、さまざまなメリットを生み出すことができます。
ネットワーク上で可視化できるようになるため、これまでは分からなかった問題が見つけやすくなります。例えば作業員や搬送車などの動きの無駄や滞留が把握できるようになったり、優れた作業員を発見し、正しく評価したりノウハウを共有できるようになったりします。
また動きが可視化されることにより、工場や倉庫のレイアウト変更や作業員の評価においても、カンコツに頼らない効果的な問題解決ができるようになります。
人やモノの場所がネットワーク上ですぐに把握できるようになるため、人やモノを探す必要がなくなります。
人やモノを探すために使う時間は、実質的には成果を生み出さない無駄な時間です。また無意味に動き回ることにもなるため従業員の徒労感も少なくありません。探す必要がなくなれば、無駄な時間を省き、従業員の就業環境も向上します。
位置情報に限らないことですが、IoTのメリットの一つは、現場まで行かなくても現地の状況が把握できることです。把握できる内容は、使用するセンサや機器によって変わりますが、位置情報もまたIoTと組み合わせて活用されるケースが多い情報の一つです。
位置センサとIoTを合わせれば、これまでは現地に行かなければ分からなかった、人やモノの位置が、離れた場所からでも分かるようになります。
IoTとはモノとインターネットがつながることです。IoTでつながるのは、機械や設備を操作するモノと、情報を集めるモノに大別されます。情報を集めるモノの一つに位置センサがあります。
IoTと位置センサの組み合わせでは、ピッキング作業員の動きをネットワーク上で可視化したり、荷物やトラックの位置をマップ上で確認できるようになったりします。
IoTと位置センサの組み合わせのメリットは、問題の可視化やモノの位置の可視化、離れた場所の状況の把握ができることなどが挙げられます。