事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
製造業におけるIoTの活用方法にはさまざまなものがありますが、設備の保守にIoTを活用することで、保守作業やコストを最適化する方法もあります。ここでは保守に対するIoT活用の種類や事例、メリットなどを紹介します。
IoTの保守への活用とは、保守に伴うさまざまな業務をIoTで最適化したり簡略化したりすることを指します。
設備の保守にIoTを活用する場合、保守の「どの段階でIoTを活用するか」によって2種類に分けられます。
一つは、保守に至る前の段階でIoTを活用する方法です。これにより保守のタイミングや頻度を最適化したり、保守の内容を簡素で済むようにしたりできます。予知保全や予兆検知といわれる分野での活用です。
もう一つが、保守そのものにIoTを使う方法です。従来は作業員を派遣して行っていた保守点検作業を、自動プログラムで行うような方法です。遠隔診断や、リモート保守などがこれに該当します。
まずは保守より前をIoTで監視するケースについて、2つの事例を紹介します。ここでは保守の回数やタイミングの最適化のためにIoTが活用されています。
工場で稼働する設備は、常に人が側にいるものばかりではありません。近くに人がいない状態で長時間稼働する設備もあります。このような場合、油漏れや異音、振動などの異常が発生していても気付きにくく、問題が明らかになったときにはすでに被害が大きく広がっているケースも少なくありません。
このようなケースにおいて、異常があればすぐに知らせる仕組みにIoTが活用できます。液漏れセンサや振動センサ、温度センサなどを設置して遠隔監視することで、人には見えにくい場所の異常もすぐに検知します。
さらに人がすぐ近くにいる設備においても、徐々に増悪する騒音や振動など、人には気づきにくい異常もあります。このような場合でもセンサを使って監視することで、監視対象が閾値を超えたことがすぐに分かり、早期のメンテナンスが可能になります。
IoTを活用して設備の振動や温度などのデータを時系列と共に分析することにより、故障や異常につながる予兆を検知する方法です。取得したデータを閾値で判定するのではなく、時系列や傾向の変化などと合わせ、AIなども活用しながら、故障や異常につながるパターンを検知します。これにより、本格的な故障に至る前に保全を行います。
続いて、保守そのものにIoTを活用する事例を紹介します。これらは遠隔でのメンテナンスや保守作業にIoTを活用している例です。
例えばエレベータの中には、施設の利用者がいない時間帯に遠隔点検を行っているケースもあります。これは、通常とは異なる動作をさせる点検プログラムを遠隔の指示によって実施し、その時の挙動データを遠隔で取得するものです。このように遠隔で点検を行えば、作業員を現地に派遣することなく点検作業が行えます。
プログラムの更新のような、ソフトウェア面のメンテナンスを遠隔で行う方法もあります。
私たちが日常で使用しているスマートフォンやパソコンでも、自動アップデートが作動することがあります。これと同じように、プログラムの更新やデータのチェックなど、ソフトウェアに関わる部分を遠隔でメンテナンスすることができます。
一度に多くの機器や設備のメンテナンスができ、現地に作業員を派遣する必要もないのがメリットです。
近年広がっているのが、スマートグラスによる遠隔作業指示です。
例えば工作機械や電気設備のメンテナンスを行う作業員がスマートグラスを着用することで、メンテナンスメニューや手順書が作業をしている際に、必要な情報が手元に表示される仕組みです。これはスマートグラスがネットワークにつながっているIoTによって可能になることで、手順書のような膨大な情報が、離れた場所にいても検索、確認しやすくなっています。
これにより、作業のミスが発生しにくくなり、限られたベテラン作業員でなくても質の高い保守作業ができるようになります。
ここでは保守業務にIoTを活用するメリットについて紹介します。さまざまなメリットがありますが、代表的なものは次のようなものになります。
保守に関する記録は、安全管理の記録でもあります。そのため、集約・整理して保管する必要があります。設備によっては保守の記録の保管が法律で定められているものもあるため、ミスや抜けは許されません。
保守のタイミングをIoTによって知らせるようにするなど、保守作業にIoTを活用することにより、保守作業を行った記録がネットワーク上に残り、管理がしやすくなります。
保守より前にIoTを活用する場合でも、保守作業そのものにIoTを活用する場合でも、IoTを活用することにより、保守作業を行うタイミングや作業内容の最適化や標準化が可能になります。
近年では労働人口が減少する中で労働力を確保する目的でも、さまざまな作業の効率化や標準化が求められています。保守作業に必要な労働力を確保するためにも、このような変化は必要です。
保守にIoTを活用する際には、チェックしなければならないポイントがいくつかあります。
保守業務に限った話ではありませんが、IoTの導入にあたっては、まず、解決したい問題とゴールの設定が必要です。IoTやDXのような新しい言葉のイメージにつられて、目的もなくシステムを導入するのでは得になりません。何が問題で、それをどのような形に変えたいのか、目的をはっきりさせましょう。
さらに保守のどの部分をIoT化するのかを検証します。保守より前をIoT化するのか、あるいは保守そのものをIoT化するのかによって、導入するシステムや必要なセンサが大きく異なります。そのため、どの部分をIoT化するかの検証は非常に大事な作業になります。
また、例えば装置を構成する部品の交換のように、保守作業そのもののIoT化ができない部分もあるため、注意しなければいけません。
保守業務にIoTの導入が完了したら、正しく効果が出ているか、検証が必要です。システムを導入しても当初の目的が達成されていないのであれば、修正や調整を行い、確実にゴールに向かえるようにしましょう。
保守へのIoT活用には2種類あります。保守に至る前の段階でIoTを活用する方法と、保守そのものをIoTを使って行う方法です。保守より前をIoTで監視するケースでは、設備の遠隔監視や予知保全などがあります。保守そのものにIoTを活用するケースでは、遠隔点検やソフトウェアなどの遠隔メンテナンス、遠隔作業指示などがあります。
保守業務にIoTを活用すると、保守の記録が残しやすくなり、保守作業とその管理の最適化や効率化などのメリットがあります。