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「障害物を正確に検知し、安全な制御を実現したい」——そんなニーズに応えるのがradarセンサーです。
電磁波を利用することで、暗闇や悪天候でも正確に物体の位置や速度を測定できるため、自動運転や物流、製造業などで重要な技術として活用されています。
本記事では、radarセンサーの原理や種類、実際の活用事例について詳しく解説。導入することで得られるメリットを具体的にご紹介します。
radarセンサー(以下本文ではレーダーセンサーと記載)とは、電波(電磁波)を利用して物体の位置、速度、距離、形状などを検出・測定するセンサーです。
物体に向けて電波を発射し、その反射波を受信することで、物体までの距離や動き、形状などの情報を把握します。この技術は、物体が目視できない場所や遠くにある場合でも、正確な情報を取得できるため、様々な分野で広く活用されています。
主に、航空・宇宙、防衛、交通インフラ、工場・物流、スマートデバイスなど、多岐にわたる分野で活用されています。特に近年では、自動運転車やスマートファクトリーの発展に伴い、レーダーセンサーの需要が急速に高まっています。
レーダーセンサーは、以下の基本的な動作原理に基づいて機能します。
レーダーセンサーは、電波を利用して対象物を検知し、さまざまな情報を取得することができます。以下で、レーダーセンサーの主な3つの機能について紹介します。
この位置特定技術は、自動運転車やドローン、航空機のナビゲーションなど、多岐にわたる分野で活用されています。
たとえば、自動運転車では、前方の歩行者や他の車両の位置を正確に把握し、必要に応じてブレーキや回避行動を実行します。また、工場内で使用される無人搬送車(AGV)は、周囲の障害物の位置をリアルタイムで検出し、安全に移動するための経路を自動的に調整します。
このように、レーダーによる物体の位置特定は、安全性や効率性の向上に貢献する重要な技術となっています。
レーダーは、物体の移動速度を測定するためにドップラー効果を利用します。ドップラー効果とは、波を発する音源や反射する物体が移動すると、波の周波数が変化する現象のことです。
レーダーの場合、発射した電波が移動する物体に当たり、その反射波を受信した際に、物体の速度に応じて周波数が変化します。
この技術は、自動車の自動運転システムでは、前方を走る車両の速度をリアルタイムで測定し、適切な車間距離を保つために活用されます。
また、産業分野では、コンベア上を流れる製品の速度を監視し、生産ラインの最適化に役立てることも可能です。
この技術は、自動車業界などで活用されています。自動車の自動運転システムでは、レーダーを用いて前方の物体の形状や大きさを識別し、それが車両、歩行者、自転車、障害物のいずれであるかを判断します。これにより、衝突回避や適切な運転制御が可能になります。
また、製造ラインにおいて製品のサイズや形状をリアルタイムで測定し、規格外品の検出や品質管理に役立てられています。例えば、食品加工工場では、レーダーを用いてパッケージ内の製品の大きさを測定し、不良品を自動で選別するシステムが導入されています。
防災・インフラ管理の分野では、地盤の変形や橋梁の劣化をレーダーで監視し、崩落の危険性を事前に察知するために活用されています。このように、レーダーを用いた物体の形状や大きさの判別技術は、安全性の向上や生産効率の最適化に貢献しています。
レーダーセンサーは、電磁波を利用して対象物を検知する技術であり、さまざまな環境下でも安定した測定が可能です。以下で、レーダーセンサーの主な特徴について紹介します。
レーダーセンサーは、電磁波を使用して物体を検知するため、物体に直接触れることなく情報を取得できます。この非接触型検知は、物体が高温や危険な環境にある場合でも、安全に計測できる大きな利点です。
また、機械的な接触がないため、摩耗や劣化のリスクが低く、メンテナンスコストの削減にもつながります。この特性は、特に自動運転車や製造業の自動化など、動きの速い物体を検出する場合にも非常に有効です。
レーダーセンサーは、光学カメラやLiDARセンサーと比べて、雨・霧・煙・暗闇などの環境条件に影響を受けにくいという強みがあります。これにより、過酷な環境下でも安定した検出が可能です。
電波は光よりも散乱しにくいため、長距離の検出が可能です。例えば、車載用ミリ波レーダーでは、数十〜数百メートル先の物体を検出できます。
ドップラー効果を利用することで、移動物体の速度を正確に測定できます。これにより、車両の自動ブレーキシステムや産業用ロボットの障害物回避などに活用されています。
レーダーセンサーにはさまざまな種類があり、それぞれの特性に応じて用途が異なります。以下で主な種類について紹介します。
パルスレーダーは、短時間の高出力電波を発射し、その反射波を測定することで対象物の距離や位置を特定する技術です。電波の往復時間を基に計算するため、長距離の測定が可能で、瞬時に位置を把握できます。
また、ドップラー効果を利用して移動速度も検知できるため、航空機の追跡や気象観測などに活用されます。周波数を調整することで、広範囲の監視や高精度な検出が可能です。
【主な用途】
航空管制
気象観測
軍事用途
UWBレーダー(Ultra-Wideband Radar)は、非常に広い周波数帯域を使用して、短時間の高精度な信号を発信し、反射波を受信することで対象物の位置や動きを検出する技術です。
UWBレーダーは、高い時間分解能を持っており、微細な動きや小さな物体の検出が可能で、特に高精度な距離測定や位置追跡が求められる場面で有効です。また、低い出力で動作するため、人体や環境への影響が少なく、安全性が高いという特長もあります。
UWBレーダーは、広帯域の信号を使用するため、壁越しや障害物越しの検知にも強みを持ちます。これにより、工場内のリアルタイム位置測定や自動化されたシステムでのトラッキングにも利用されています。
【主な用途】
産業用位置測定
人物追跡・監視システム
建物内での障害物検知・位置把握
FMCWレーダーは、電波の周波数を連続的に変化させることで、対象物の距離と速度を同時に測定する技術です。この方式により、高精度な距離測定と速度測定が可能となり、特に自動車や産業用機器での活用が増えています。
また、コンパクトな装置で低コスト化が可能なため、コストパフォーマンスの高いレーダーとして、特に自動運転車やロボット、さらには安全監視システムでの使用に適しています。
【主な用途】
自動運転
ドローンの障害物回避
工場の自動化
レーダーセンサーは、さまざまな産業分野で活用されており、その導入によって多くのメリットが得られます。以下で主なメリットについて紹介します。
レーダーセンサーは、非接触で設備の振動や位置の変化を高精度に検出できるため、異常の早期発見が可能です。これにより、故障が発生する前に適切なメンテナンスを行う予知保全が実現し、突発的なダウンタイムを削減できます。
人の目や手作業に頼っていた工程を、レーダーセンサーによって自動化が可能になります。例えば、無人搬送車(AGV)やロボットアームの障害物検知、物流倉庫での在庫管理、農業における自動散布装置の制御など、さまざまな分野で作業効率の向上を実現します。
また、悪天候や暗所でも安定した動作が可能なため、24時間稼働のシステムにも適しています。
レーダーセンサーは機械的な可動部を持たないため、摩耗や劣化の影響を受けにくく、長期間にわたって安定稼働できます。
また、汚れや粉塵が多い環境でも性能が低下しにくいため、清掃や交換の手間を最小限に抑えられます。これにより、メンテナンスコストの削減につながります。
レーダーセンサーは、コンパクトかつ軽量で、さまざまな産業機器に後付けで組み込むことができます。
例えば、工場の既存ラインにセンサーを追加し、遠隔監視システムを構築する、インフラ設備に取り付けて状態監視を行うなど、現場の大規模な改修をせずに導入できるため、コストを抑えながら設備の高度化が可能です。
レーダーセンサーは、電波を利用して対象物を検出・測定する技術で、多くの産業分野で活用されています。以下で各業界における具体的な用途を紹介します。
AGVやAMRは、工場や倉庫内で物品搬送を自動化するために使用され、障害物を確実に検知して回避する能力が重要です。レーダーセンサーは、周囲の障害物をリアルタイムで検出し、物体の形状や材質に関係なく、正確に距離を測定できます。
さらに、動いている物体の追跡も可能で、他のロボットや作業者との適切な距離を保ちながら安全に移動します。
生産ラインでは、レーダーセンサーが製品の位置検出や装置間の連携に役立ちます。センサーは部品や製品の位置を高精度で把握し、ロボットアームや搬送システムの精確な作業を支援します。
また、リアルタイムで作業進行を監視し、遅延や不良品を検知して即座にライン調整を行います。レーダーセンサーは、厳しい環境(高温、多湿、粉塵)でも安定して動作し、高速で精度の高い制御を実現し、生産性を向上させます。
ADASでは、レーダーセンサーが中心的な役割を果たし、事故リスクを低減し、運転者の負担を軽減します。主な機能には、車間距離制御(ACC)、自動ブレーキ(AEB)、死角検知(BSD)があります。
レーダーセンサーは、前方車両との距離を測定し、適切な車間距離を維持するために加減速を自動で調整します。障害物を検知して緊急ブレーキをかけ、死角にある車両を検出して警告を発します。
レーダーセンサーのメリットは、視界不良でも安定して動作し、リアルタイムでの反応が可能で、高速道路や渋滞時にも運転をサポートします。
自動運転車では、レーダーセンサーが障害物検知に重要な役割を果たします。360度の視界を確保するために複数のセンサーが車両に配置され、歩行者や他の車両をリアルタイムで検知します。低速走行や停止時にも周囲を詳細にスキャンし、障害物の距離や速度を測定、進行方向の障害物を即座に把握して回避行動を取ります。
レーダーセンサーは、橋梁や高層ビル、ダムなどの構造物の振動や変位をリアルタイムで監視するために使用されます。特に、非接触で高精度な測定が可能なため、既存の構造物に対する影響を受けることなく、継続的に監視できます。
この技術により、構造物の安全性を確保し、地震や強風、大雨などの自然災害による影響を迅速に検出することができ、早期のメンテナンスや修理に繋がります。
レーダーセンサーは、地中に埋設された管路やケーブル、地下構造物を非破壊で検出するために使用されます。
地中レーダー技術は、地下の構造を高精度で可視化することができ、例えば、建設現場での土木作業や掘削作業において、地中の障害物や埋設物を事前に確認するために役立ちます。これにより、作業員の安全を守り、予期せぬ事故や損害を防ぐことができます。
レーダーセンサーとLiDARセンサーは、どちらも距離測定や物体検知に使われる技術ですが、それぞれ異なる特性を持ち、用途に応じた選択が必要です。以下で、両者の主な違いを表にまとめました。
特性 | レーダーセンサー | LiDARセンサー |
環境耐性 | 雨・霧・煙・暗闇に強い | 悪天候に弱い(光が散乱) |
測定距離 | 長距離(数百m~数km) | 中~短距離(数m~数百m) |
測定精度 | 形状認識は苦手 | 高解像度で3Dマッピングが可能 |
速度検知 | ドップラー効果で高精度 | 速度計測は苦手 |
コスト | 低コストで導入しやすい | 高価 |
メンテナンス | 基本的にメンテナンス不要で、長期間安定して使用可能 | 定期的なクリーニングやレンズ交換が必要 |
レーダーセンサーとLiDARセンサーは、それぞれ異なる特徴を持っています。レーダーセンサーは悪天候や光の不足といった過酷な環境でも安定した性能を発揮する一方、LiDARセンサーは高精度な空間情報を提供し、特に詳細な物体検出に優れています。
選択する技術は、求める性能や使用環境、用途に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
レーダーセンサーは、非接触で物体を検知し、環境の影響を受けにくいという特性を活かして、さまざまな産業で利用されています。長距離測定や速度検出が得意で、製造業や自動車業界などでの自動化や効率化に役立っています。
LiDARセンサーと比較しても、異なる強みを持つため、適切な技術選定が重要です。これらのセンサーを導入することで、予知保全や作業の効率化、ダウンタイムの削減が実現でき、今後の産業の発展を支えることが期待されます。