事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
製造業では、作業者によるミスが発生しやすい業務の自動化が進んでいます。当記事をご覧の方のなかには、作業効率化、品質向上のために在庫管理業務へのIoT活用を検討している方もいるでしょう。
そこで今回は、「在庫管理にIoTを活用すると何ができるか、どのように実現するか」について解説します。在庫管理へのIoT活用方法や他社の成功事例、活用時の注意点が知りたい方は、参考にしていただけたらと思います。
在庫管理の業務では、次のような課題があります。
在庫管理にIoTを活用することで、在庫の数や場所を簡単に把握できるようになるため、在庫管理に関するこれらの課題を解決できます。
在庫管理にIoTを活用することで、どのようなメリットがあるのか紹介します。
一般的な在庫管理業務では、現地に作業者が訪れ、目視で確認したものをシステムに入力し、その結果を元に発注を行います。現場で作業しなければならない点や、在庫を確認してからそれをシステムに反映するまでのタイムラグは、在庫管理における大きな課題です。
在庫管理にIoTを導入することで、現地に訪れなくても遠隔で在庫管理ができるようになり、うまく環境を構築すれば在庫の変動をリアルタイムで確認できる可能性があります。
在庫管理をリアルタイムで行うことができれば、生産管理システムや受発注システムとの連携が可能です。
生産管理システムで予定された生産数を確認し、リアルタイムに在庫と突き合わせることで、在庫不足が想定されるかどうかの正確な判別が可能です。在庫が不足する場合には、必要な部材をシステムが発注するなど、一連の業務を自動化できます。
IoTを活用することで、在庫管理やその周辺業務を自動化できるため、管理工数やコストの大幅な削減に繋がります。
浮いた工数や予算をより生産性の高い作業に充て、さらなるIoT化など付加価値の高い設備投資に繋げることで、社員の働き方改善や業績の工場を実現できる可能性があります。
在庫を目視で確認し、その結果を手作業で入力すると数え間違いや転記ミスなどのヒューマンエラーが生じます。精度を高めるために繰り返しチェックをしても、人のミスをすべてなくすことは困難ですし、付加価値の低い時間の使い方になってしまいます。
IoTの導入で在庫管理を自動化できれば、ヒューマンエラーの影響を受けないため、在庫管理の精度が向上します。
在庫管理にIoTを導入する際には、以下のような流れで行います。
はじめにIoTを導入することで解決したい、在庫管理の課題を整理します。解決したい課題次第で、どのような手段を選定し、どの範囲まで対象にすべきかが変わってきます。
導入するIoTの選定を間違えないように、解決したい課題の整理・明確化が重要です。
在庫管理に活用できるIoTには、さまざまなものがあります。知名度が高い、コストパフォーマンスが高いなどの理由で選定すると、解決したい課題に適していない場合があります。
はじめに整理した、解決したい課題を確実に解決できる手段を選定する必要があります。
適切な手段の選定が完了したら、それを実現できるIoTシステムの導入を進め、実際に運用を開始します。運用する中で生じた課題などは、状況に応じて随時改善を行うことで、より使いやすい状態にできます。
在庫管理にIoTを導入する際には、いくつかの注意点があります。以下のポイントは最低限押さえておきましょう。
IoTを導入すると、従業員は今までの業務内容や働き方を変えることになり、多くの場合「これまで通りうまくできるだろうか」「新しい仕事を覚えなくてはいけないのか」と、不安に感じます。
そこで、IoTの導入においては事前に導入の背景や作業マニュアルの整備など、十分な説明を実施し、従業員の不満が蓄積しないようにフォローすることが重要です。
また、大きな変化が生じる場合には、仕事の流れを完全に切り替える前に同時に行うような期間を設け、その期間に課題の洗い出しや改善を行うことが重要です。この期間で、従業員に切り替え後のメリットを感じてもらえば、スムーズに移行できるでしょう。
新しいシステムを導入する際には、導入に関する初期費用や継続的な保守管理費用、またシステムの改善費用などが必要です。必要な費用とシステムの導入により想定される効果を突き合わせて、メリットがあるかなどの確認が重要です。
すでに、在庫管理にIoTを活用している事例はいくつかあります。他社の導入事例を参考にすることで、検討時間の短縮や活用アイデアの抽出などが可能です。
自社独自の取り組みに固執せず、成功しているアイデアをうまく活用するといいでしょう。
実際に、在庫管理にIoTを導入した企業の事例を3つ紹介します。
従来、電話やFAX経由の受発注形態から、在庫管理はそれぞれの従業員が手書きやExcelで行っていたため、属人化が進んでいました。パッケージソフトの導入も検討しましたが、従業員間でのデータ共有が容易にできなくなるため、導入を見送りました。
そこで、従業員がSIMでインターネットに接続したIoT端末を活用して取得した在庫管理データを共有できるような、クラウド型の在庫管理システムを導入しました。SIMを使用することで工事が不要なため初期費用を抑えられ、情報共有の効率化により工数の削減と属人化の解消を実現しました。
在庫棚に重量検知が可能なマット型、もしくはフィルム型のセンサを設置し、その上に在庫を置くことで重量による在庫管理の自動化を実現できます。
在庫不足をセンサが検知し、その情報を元に発注システムが不足した在庫を発注することで、在庫切れリスクの低減と業務効率化に繋がります。
RFIDを活用することで、複数の製品情報をまとめて読み込むことが可能です。読み込んだ在庫情報は、リアルタイムでシステムに反映できるため、生産管理システムとの連携で、必要な在庫量の管理や受発注の調整に活用できます。
在庫管理は、現地での作業が必要であり、作業者のミスが発生しやすい業務です。IoTを導入することで自動化でき、ミスの低減と効率化を実現できます。
在庫管理へのIoT導入にはさまざまな手法があるため、他社の成功事例を参考にしながら自社の課題を的確に解決できるものを選定することが重要です。作業者の仕事内容が変わるため、不満が溜まらないようにケアを欠かさないようにしましょう。