事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
FAとは、ファクトリーオートメーション(Factory Automation)の略で、生産工程の自動化を意味します。これまでも製造業においては、生産工程のさまざまな部分で自動化が進んできました。
近年、労働人口の減少による採用難や人件費削減などのさまざまな課題を解決するため、これまで以上にFAの重要度が増しています。さらにFAにおいて欠かせないものが、機器を自動で動かすための多種多様なセンサです。
ここでは、FAにおけるセンサの役割や活用事例、センサを活用するメリットを紹介します。
FAでは、自動車ボディーの自動溶接マシンのような大きなものから、生産ラインを流れてきた手のひら程度の部品の向きを自動で変えるような装置まで、工場の規模や生産するものの枠を超え、さまざまな領域が扱われます。
センサは、FAにおいて機械を自動で制御するために必要な情報を取得するためのものです。まずはFAにおけるセンサの役割を解説していきましょう。
FAにおいては、機械を制御するためにさまざまなデータが必要です。機械におけるセンサは、人の五感のような役割をします。温度や重さ、部品の位置、人の有無などの情報(データ)を受け取り、機械を正しく安全に動かすための判断材料にするからです。
例えば、袋にネジを入れる作業を考えてみましょう。決められた重量分のネジを袋に入れる際、手作業であれば、はかりの数値からネジの量が十分なのか、足りないのかを判断します。そして袋を次の工程に回すか、ネジを足すかの行動を取ります。
この作業を自動化する場合には、重量センサを使用します。袋を保持する部位に重量センサを取り付け、一定の重量になったときに、ネジを袋に入れる動作を止めるシステムを作ります。
また他の例では、運ばれてきた製品の形状に合わせて加工ツールや加工方法を自動選択するFAラインもあります。このような場合、製品の形状を認識し、データ収集するために、光学センサや接触センサなどのセンサと画像認識ツールが用いられます。
これまでのFAは前述の例のように、工場の中の個々の工程について行われるものが主流でした。しかし近年では、IoTを絡めた工場全体の自動化が求められるようになっています。
個々の作業をするために必要なデータだけでなく、工場全体の工作機械の稼働状況や作業員の動き、不良発生の頻度や種類などに対してもデータを収集するようになってきました。工場全体をデータ化して俯瞰し、最適な生産体制や効率のいい生産ラインを構築したり、工場の管理自体を自動化するなどの活用例も増えてきています。
このようなケースにおいて、さまざまなデータを収集するためには、やはりセンサが欠かせません。そのため、FAにおけるセンサの重要度は、これまで以上に増しています。
FAにおいては、さまざまな部位でセンサが活用されています。ネットワークを使用し、工場全体の状況を把握するためのセンサや、ロボットアームが小さなネジをキャッチしたことを把握するためのセンサなど、用途や大きさ、その情報が使われるシステムの大小はさまざまです。
ここでは実際に工場で使われているセンサを例に、FAにおけるセンサの活用事例を紹介します。
製品の仕分けにおいても、センサを使ってFA化を実現したケースがあります。従来はコンベアで流れてくる複数の種類の製品を、作業員が目視で仕分けしていました。しかし仕分けミスの発生や、人件費などの課題があり、FA化による解決を試みました。
生産ラインで使用していた品種ごとのバーコードを活用し、コンベアの途中にバーコードリーダを設置。バーコードで種類を判別して、自動仕分けを行うようにしました。これにより作業スピードの向上やミスの撲滅、人件費の削減などの効果が得られました。
工場内における製品の自動搬送もFAの領域の一つです。従来は人の手で台車を押して仕掛品の搬送を行っていたものをAGV(無人搬送機)に変更した例でも、センサが使用されています。
従来は、仕掛品が工程間を移動する際、作業員が仕掛品の入ったパレットを台車に乗せて、次の工程を行うラインに搬送していました。重い台車を押さなければならないため、作業員の負担は大きく、作業員の確保が課題になっていました。
そこでAGVを導入しました。AGVには重量センサや、床に引かれた走行ルートの線を認識するセンサ、前方に障害物がないことを確認するセンサなど、多くのセンサが使われています。これらの活用により、作業員の負担軽減や労働力不足の解消、人件費削減などの効果が得られました。
検査工程において不良品除去する作業のFA化の事例でも、センサが活用されています。近年使用が広がっている画像検査において、画像を取得するカメラなどもセンサの一種です。
例えばゴム製のオイルシールを製造している工場では、最終工程でバリの有無を作業員の目視により確認し、バリがあるものを除去していました。しかし、不良品の流出や、良品が除去されてしまうなどの選別不良が発生するのが課題でした。
そこで画像検査を取り入れ、不良品の除去をFA化したのです。ライン上を流れるオイルシールをカメラで撮影、自動でバリの有無を判定し選別できるようにしました。
FA化においてセンサが活用できるのは、製品に対してだけではありません。製造に使用する加工機などの状態を確認するためにもセンサが活用できます。
例えば、金属を切ったり削ったりする加工機では、刃に微細な欠けがあると、刃にビビリが発生し加工不良になってしまいます。そこで加工機に取り付けた振動センサから刃の欠けを検査し、加工不良につながりそうな振動を検知した場合には、自動で加工機を停止させているFA事例があります。
加工不良に至る前に加工機を停止させられるため、仕掛品の破損がなく、また刃物の交換のタイミングが最適化できるなどのメリットがありました。
FAではさまざまな場面で多種多様なセンサが使われます。なかでもよく使われるセンサには、次のようなものがあります。
スイッチもセンサの一種です。接触式と非接触式の2種類に大別されます。スイッチへの接触の有無から製品の形状を見分けたり、作業台に置かれた部品の有無を判定したりするなどの使用方法があります。また機械の可動域に人がいないかを確認するなど、安全装置にも使われます。
寸法や製品の位置を計測するセンサもまたFAの現場で非常によく使われています。製品の大きさを判断するだけでなく、例えばセンサからタンク内の液面までの位置を計測することで、タンク内容物の変位量を検知するなどの使用方法があります。製品の仕分けや不良品の除去、安全装置、機器のコントロールなど、多岐にわたって使用されます。
荷重センサは、重さを測定したり負荷を検知したりするのに使われるセンサです。重力方向の荷重と、ねじれ方向の荷重のそれぞれを検知します。FAラインにおいては、製品を重さによって定量に仕分けたり、作業台や台車の上に製品が乗っているか否かを確認したり、不良品の除去などに使用されます。
圧力・差圧センサは荷重センサとは異なり、面に対する圧力を検知するセンサです。機械式と非機械式の2種類に分類されます。FAでは把持力の検出や台上での部品の変位量などのデータを取得するのに使われます。
光センサやカラーセンサの特徴は、赤外線センサなどと異なり、可視光を計測するところです。多くの場合、検体に光を照射し、反射して返ってきた光を利用して測定します。
FAでは、治具の上に製品がセットされたことの確認や、製品の種別の判定などに利用されます。
画像センサは、AIとの組み合わせにより、特に近年使用が増えているセンサです。検体を任意の倍率で画像として検知します。外観不良をはじめとした不良品の検出や、作業員の動きの異常など、FAシステムと組み合わせることで非常に多くの使い道があります。
スーパーやコンビニなど、日常生活で使われているバーコードリーダもセンサの一種です。バーコードリーダは、前述の例のようにFAにおいても多くの使用例があります。
FA化により機械や装置を自動で動かすためには、機械や装置に動くきっかけを与えなければいけません。周囲の状況に合わせて、適切に動かすためには、周囲の状況をデータとして把握し、機械に伝えるためのセンサが欠かせません。そのためFA化ではセンサの活用が必須です。
それはつまり、多種多様なセンサをうまく活用することで、FA化で実施できることの範囲を広げられるという意味でもあります。ここではFAにセンサを活用するメリットについて解説します。
FAでは、これまで人が行っていた作業の自動化が行われるケースも少なくありません。そのため、センサを活用しFA化を進めることで人件費の削減につながるケースも多いです。労働力人口の減少により人材確保が難しくなっている今、センサを活用してFAを進めていくメリットは、より大きくなっていくでしょう。
センサの活用により工程の効率化も可能になります。一方でセンサは非常に多種多様なため、どのようなセンサを使い、何をどう検知すればいいか、事前によく検討し、工夫する必要があります。センサの活用方法については、過去の事例などを参考にするといいでしょう。
人の作業には、どうしてもミスが起こります。ミスを減らす方法はいろいろありますが、製造業においては「人はミスをするもの」として考えるものです。一方で機械はミスを犯しません。そのためFA化により作業や品質チェックなどを自動化すれば、ミスの撲滅につながります。生産工程や検査工程において発生する不良を撲滅できるのです。
センサが読み取ったデータは保存が可能です。そのためトレーサビリティの確保が可能になるのもFA化の大きなメリットの一つです。
さらにデータを保存するというシステムそのものも自動化できるため、従来のような人の手によるチェックのように、大量のチェック用紙を保管する必要もなくなります。
FAの仕組みにセンサを活用するためには、FAのシステムを作る際に同時にセンサを組み込む必要があります。そのためセンサ活用の手順は、基本的にFA構築と同じ手順になります。
FA化において最も大切なのは、現状の課題を抽出することです。課題意識がないまま、流行に乗るような形でFAを導入しても、あまり意味はありません。まずは解決したい課題を抽出し、その中からFAによって解決できそうなものを見極めるのが第一歩です。
解決したい課題が選定できたら、続いては目標の設定を行います。FA化によって見込めるメリットから、それに向けた目標を定めます。
望むメリットや目標により、取得したいデータや情報が決定するため、それらの取得に必要なセンサを選定していきます。
目標を実現するために必要なFAシステムを導入していきます。装置やそれを制御するプログラム、ネットワークなどと合わせて、必要なデータや情報を得るためのセンサを導入します。
労働人口減少やコスト削減、IoTの推進など、さまざまな理由により、工場のFA化は今まで以上に重要になっています。FA化により機械や装置を自動で動かすためには、センサが欠かせません。
多種多様なセンサと、それを活用できるシステムを構築することにより、多くのメリットが得られるでしょう。