事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
重量センサとは、重さを検知するためのセンサです。センサの上に乗せたものの重さを検出します。
体重計やはかりなどをイメージすると、一番分かりやすいでしょう。重量センサは、ただ重さを量るだけでなく、さまざまな用途に活用できます。
重量センサと近い使い方をされるのが圧力センサです。圧力センサはセンサにかかる圧力を検出するため、重量の検出に圧力センサを使っている重力センサもあります。
圧力センサを重量センサとして使うだけでなく、重量センサを圧力センサのように使用するケースもあります。圧力センサと重量センサに限った話ではありませんが、センサは活用方法によってさまざまな用途に使用できるものです。そのため、一見すると異なる用途に思えるセンサでも、使い方によっては別の用途にも使用できるケースが少なくありません。
重量センサと圧力センサは全く違うものではなく、使い方や用途によっては、どちらにも使える関係にあります。
重量センサの用途は、単純に重さを量るだけではありません。重量の検出を使って、次のようなことに活用できます。
・製品/部品を入れた容器の下に重量センサを設置して、重量で在庫数を管理
在庫の管理は、物流や製造の現場においては、非常に重要な課題の一つです。在庫の過多や不足は、ムダなコストを発生させたり、製造ラインを停滞させたりしてしまうからです。
近年、在庫管理の手法としてDXやIoTといった、デジタル技術とネットワークで在庫を管理し、リモートでいつでも在庫が確認できるような改善を行っている現場が数多くあります。
そのような現場における在庫管理方法の一つに、在庫を入れてある容器の下に重量センサを置く方法があります。一定の形状の部品や製品だけでなく、粉末や液体の在庫管理にも応用できるのがメリットです。
・出荷用の箱の下に重量センサを設置し、箱に入っている製品の数が合っているかを重量で管理
出荷される製品ごとの重量をあらかじめ把握しておけば、出荷される荷物の重量が算出できます。これを応用し、箱の中に入れられた製品の重量の総計が合っているか否かの判定により、出荷数の管理が可能になります。
出荷ミスを防ぐためには、リストによるチェックのような人の行動に頼る方法もあります。しかしセンサを活用してデジタルで管理すれば、抜けや漏れなどのミスがなく、確実な管理ができるようになります。
・搬送車の荷台に重量センサを設置し、積載物が規定重量を超えていないかを確認
台車や搬送車で荷物を運ぶ際、規定の重量を超えた積載は事故の原因になります。
そこで重量センサを安全装置として利用する方法があります。搬送車の荷台に重量センサを設置しておけば、載せられた荷物が規定の重量を超えていないかどうか確認できます。
・ベッドに敷くマットに重量センサを設置することで、患者が居るかどうかを確認
病院や介護施設では、ベッドの離床センサとして重量センサが活用されています。自力で床を離れるのが危険な患者に対し、マットの下に重量センサを設置します。
患者がベッドの上にいる間は、患者の重量がありますが、患者が床を離れると重量がなくなるため、管理者にそれを知らせる仕組みが作れます。
・地面や床に重量センサを設置して、侵入者の有無を検知
防犯においても、重量センサが活用できます。人の侵入を防止したいエリアの地面や床に重量センサを設置しておけば、人の侵入を検知し、通知できます。
通知する重量の範囲を人間の体重程度に設定しておけば、鳥や猫のような動物に対しては反応せず、人の侵入だけを知らせるシステムが作れます。
近年、IoTや物流DXなどの観点から重量センサの注目度が上がっています。
特に注目されているのが在庫管理での活用方法です。前述の活用方法で紹介したような、重量センサを用いた在庫の把握と、それをネットワークにつないでリモートで、多品種の在庫を一括管理できる仕組みを導入する企業が増えています。
重量センサを用いた在庫管理には多数のメリットがあります。その中でも特に代表的なものには、次のようなものがあります。
製造業ではジャストインタイムという考え方や、カンバン方式の導入により、在庫をリアルタイムで管理しなければならない現場が多くあります。これまではそういった仕組みが導入されていなかった製造業や物流の現場でも、業務の効率化や業務の一般化の観点から、在庫をリアルタイムで適切に管理しようという動きが広がっています。
管理しなければならない品種が少なければ、手作業で在庫管理を行っていても、あまり問題はありません。しかし品種が多ければ多いほど、在庫の出入りが頻繁であればあるほど、リアルタイムで把握するのは手作業では困難になります。
在庫の管理は必ずしも重量センサが最適解ではなく、さまざまなセンサを使った多様な方法があります。しかしIoTを活用した在庫管理のためには、センサの活用が欠かせないケースが多く、その中の一つに重量センサも含まれているのです。
重量センサにはさまざまな種類があります。ここでは、特によく使われている3種類のセンサについて解説します。なお、重量センサは適用範囲が非常に広く、同じ方式であってもセンサ形状などによって計測範囲も大きく変わるため、方式の違いによる得意/不得意分野は一概には言えません。
ロードセル方式は、重量センサの中でも最も多く使われる方式です。仕組みについては後述しますが、基本的にはロードボタンとよばれる重量を受け止める部位と、重量を受けて変形したり増圧したりするものを検出する部位から作られています。
重量を正確に検知できるのが特徴で、他のセンサに比べて値段が比較的安く、長寿命なのもメリットです。
圧電素子方式は、圧電素子(ピエゾ素子)の電荷の大きさを使って測定する方式です。
圧電素子は、電圧を印加されると伸び縮みする素子ですが、逆に外からの荷重で変形させられると、その量に応じて電気を産む性質を持っています。
この性質を利用し、重量センサとして活用しているのが圧電素子方式の重量センサです。
静電容量方式とは、二つの膜の間の静電容量がひずみによって変化するのを利用したセンサです。薄い膜を利用しているため、シートタイプの重量センサが必要な場合に向いています。
重量センサには複数の種類がありますが、ここでは最も多く使われるロードセルの種類と仕組みについて解説します。
ロードセルは主に、ひずみゲージ式、油圧式、空気式の3種類が使われています。
ロードボタンが荷重に比例して変形する起歪体とつながっています。荷重を受けて変形した起歪体には、ひずみを測定するひずみゲージが取り付けられており、ひずみ量から重量を算出する仕組みです。
アナログのバネばかりでは、バネの変形量を目で読み取りますが、これを電気的に処理しているものだと考えるといいでしょう。ロードセルの中でも最も多く使われているものです。
ロードセルの内部に満たされた、油などの流体の圧力を検出する方式です。ロードボタンに荷重がかかると、内部に満たされた流体の圧力が増します。
この圧力を検出し、重量として算出するもので、ここには圧力センサが活用されています。電子部品が使われていないため、厳しい環境でも使用できるのがメリットです。
基本的な構造は油圧式ロードセルと同じですが、内部に満たされているのは油ではなく空気です。油圧式よりも精度が高く、破損時にも周囲を汚さないのがメリットです。
重量センサは重量を検出するセンサですが、ただ重さを量るだけにとどまらず応用範囲は広く、さまざまな活用方法があるのです。
在庫の重量を計ることで、在庫管理に活用したり、人の有無を検知して防犯や安全管理に活用したりできます。
特に在庫管理においては、IoTやDXなどの観点から、活用事例が増えており、注目を集めています。使用する対象や条件によって、適切な重量センサ選びがポイントになるでしょう。