環境センサの種類や使用例などを分かりやすく解説

環境
目次

環境センサとは

地球

環境センサとは、水や空気空間などの環境を把握するために使われるセンサです。センサには圧力センサや温度センサ、湿度センサなどさまざまなものがあります。このようなセンサの中から、環境を把握するために使われるものを総称して環境センサと呼びます。

環境センサを使う目的

センサを用いた環境の把握は、多種多様な目的で行われています。比較的身近な例には、次のようなものが挙げられます。

  • 室内や作業環境の快適さの指標。熱中症予防などの安全管理
  • 放射線やガスなど、危険なものが放出されてないかのモニタリング
  • 人を検知して自動ドアの開閉を行うなどの機械制御

このように一言で「環境を把握する」といっても、それが示すのは、空気の状態や人や物の有無など多岐に渡ります。そのため、環境センサを活用する際には、何のために何を知ろうとしているのか、事前に整理しておく必要があります。

主な10の環境センサ

社会

環境センサは、環境を把握するために使われるさまざまなセンサの総称です。

「環境センサ」として販売されていて、空間の環境を把握するための複数の数値を表示する製品もありますが、目的に合わせてさまざまな単機能のセンサを用い、環境センサとして利用するケースも多くあります。

環境センサとして使われるセンサのうち、主なもの8つを紹介します。

  1. 温度センサ
  2. 湿度センサ
  3. 気圧センサ
  4. CO2センサ
  5. 近接センサ
  6. 紫外線センサ
  7. 放射線センサ
  8. ガスセンサ
  9. 騒音センサ
  10. 照度センサ

温度センサ

温度センサは、気体や液体、固体の温度を測定するためのセンサです。接触型のものと非接触型のものがあります。環境センサとして活用する場合には、気温や室温を測るケースが多く、センサが空気に接触する、接触型のセンサが活用されます。

快適さの指標や、暑さ、寒さに対する安全管理のための環境センサとして使用されます。

活用事例

工場の温度管理、加熱炉の温度管理

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湿度センサ

湿度センサは、飽和水蒸気量に対し空気中に含まれる水分の割合を調べるために使われるセンサです。湿度は、人にとっては環境の快適さに大きな影響を与える要因の一つです。

また部品や製品にとっては吸湿や静電気、腐敗の進行などに影響を与えます。そのため、作業環境や製造環境の湿度を管理するための環境センサとして活用されるケースが多いです。

活用事例

電気機器組み立てラインの湿度管理(静電気防止)、塗装ラインの湿度管理

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気圧センサ

気圧センサは、空間や容器内の気体の圧力を測定するためのセンサです。
環境センサとしては、天候の変化の目安として、室内の気圧をモニタリングするために使われるケースが多いです。

また、内部の気圧をコントロールするような設備における気圧モニタとしても使用されます。

活用事例

原子力管理施設の負圧チェック、ガスタンクの圧力チェック

CO2センサ

CO2センサは、空気中のCO2濃度を測定するためのセンサです。

CO2濃度が高い空間では、酸欠などの重大な事故につながる恐れがあります。また、そこまでには至らずとも、息苦しさや閉塞感による不快さを感じるケースも少なくありません。

環境センサとしてCO2濃度を測定する際には、人が集まりやすい空間における換気の状況を調べるために使用したり、換気の悪い場所で安全に作業するために使用したりします。

活用事例

閉鎖空間で工事を行う際の安全管理、ガス濃度チェック

近接センサ

近接センサは、距離センサを利用し、物体や人の接近を検知するセンサです。

環境センサとしては、空間における人の有無の検知、自動扉や自動で点灯する照明などにおいて、人の接近を検知するために使用されます。

活用事例

自動ドアの開閉、機械の旋回区域立ち入り防止センサ

紫外線センサ

紫外線センサは、紫外線の量を測定するためのセンサです。
火災警報装置や、製品の品質チェックなどにも使われますが、環境センサとしては、主に太陽から降り注ぐ紫外線の量を測定するために使用されます。

過度の紫外線は、美容においては日焼けやシミの原因になるほか、健康面においても皮膚がんの原因になるといわれています。

そのため、環境センサで紫外線の量をモニタリングし、屋外活動時間の指標にします。

活用事例

屋外活動の指標

放射線センサ

放射線センサは、空間における放射線の量を測定するためのセンサです。
放射線は、放射性物質や放射線発生装置から放出されるだけでなく、宇宙から降り注いだり、花崗岩のような岩石から放出されたりしています。

微量であれば浴びても問題ありませんが、一度に大量の放射線を浴びたり、多量の放射線を長期間浴びたりすると、健康被害が発生する恐れがあります。そのため、放射線を扱う現場では環境センサの一つとして放射線センサが用いられます。

活用事例

放射線発生装置が設置されている部屋の安全管理

ガスセンサ

ガスセンサは、空気中にある特定の気体を検知するセンサです。
家庭にあるガス漏れ検知器や、前述のCO2センサもガスセンサの一種です。

環境センサとしては、可燃性ガスや有毒ガスを検知して知らせる安全装置や、換気状況のモニタリングのために使用されます。

活用事例

ガス漏れ警報装置

騒音センサ

騒音センサは、ある場所における音の大きさを測定するセンサです。
大きすぎる音(騒音)は、現場作業員の音声による意思疎通を妨げるだけでなく、注意力が散漫になりがちで、事故につながる恐れもあります。

また、工場や工事現場の周辺における騒音の基準値を超えないよう測定・管理するためにも必要です。

活用事例

工場内の作業環境指標、建設工事現場における騒音管理

照度センサ

照度センサは、ある場所における周囲の明るさを測定するセンサです。街路灯などの照明が、周囲が暗くなると点灯し、明るくなると消灯するのは、照度センサの働きによるものです。

また、パソコンのディスプレイやスマートフォンの画面は、周囲が暗いときに自動的に輝度が下がり、明るいときは輝度を上げて視認しやすくなりますが、こうした制御にも照度センサが使われています。

活用事例

明るさに応じた照明の自動点灯、周囲の明るさに応じたディスプレイの輝度調節

その他センサ

環境センサとして使用されるセンサには、他にも照度センサや感雨センサ、水質センサ、風速風向センサ、土壌センサなど多くのものがあります。
環境センサによってセンシングされる項目は多岐にわたります。

環境センサの活用事例

環境センサー

環境センサで測定される項目は幅広く、場面や目的に合わせてさまざまな活用方法があります。ここでは環境センサの活用事例をいくつか紹介します。

CO2センサ

オフィスの快適さや、換気状態の確認のためにCO2センサが環境センサとして活用されます。働く人の健康や快適さのためには換気が必要な一方で、必要以上の換気は、冷暖房の効率を下げてしまいます。そこで、最適な換気状況を作るためにCO2センサが活用できます。

また、事務所衛生基準規則では、事業所の管理基準としてCO2濃度の基準を定めているため、定期的な数値の確認と管理が義務付けられています。このような場合には、IoTを活用してリモートでオフィスの状況を確認できるようにすれば、多くの部屋がある大きな事業所でも、全ての部屋のCO2濃度がリモートで把握できるようになります。

温度センサ

農業用ビニールハウスの内部の環境をモニタリングするために、温度センサや湿度センサが環境センサとして活用されます。
例えば温度をモニタリングすれば、日照が強く、温度が上がりすぎる場合には自動で換気口を開いて、温度調整ができるようになります。また近年ではIoTにより、遠隔でハウス内の温度が確認できるような仕組みが作られています。これにより、作物への散水やハウスの開閉を遠隔で行えるようになり、現場から離れにくい農業従事者の助けになっています。

近接センサ

薬剤噴霧機に近接センサを搭載するのも、環境センサの活用例です。消毒薬などの薬剤を噴霧する機械に対し、近接センサを取り付け、作業者が手を近づけると自動で薬剤を噴霧する仕組みです。

これにより、ボタンやスイッチに触れずに薬剤を噴霧できるようになり、工数削減につながりました。さらに自動噴霧になったことにより、不必要な接触を避け、衛生さも保たれるようになりました。

環境センサとIoT

環境

近年、IoTやDXの推進に伴い、環境センサの重要度は増しています。
従来はネットワークにつながっていなかった温度計や湿度計などを環境センサに代え、その数値をネットワークから確認できるようにするケースが増えています。

温度計や湿度計、CO2センサなど、従来は別々の計測機で計測されていたものを、新しくネットワークにつなげられるセンサに変更する例が増えているのです。

環境センサをIoTに活用するメリット

温度や湿度など、環境センサではなくても測定できたものでも、センサを用いてIoTを活用することで、次のようなメリットが見込めます。

  • 作業員のカン、コツや人の感覚に頼っていたものを、数値として客観的に把握できる
  • 数値の記録が残り、それを遠隔地から確認できる
  • 数値を頼りに遠隔で環境の調整が行える

少子化に伴う労働人口の減少や、働き方の多様化などにより、これまでは熟練労働者の勘やコツに頼っていた作業を、数値化/一般化し、誰にでもできる作業に変えていく必要があります。また同様の理由により、IoTを利用した省力化も避けて通れない課題になっています。環境を把握するために必要な項目を、センサを用いて数値として記録・保管し、遠隔でも運用できるようにする際に、環境センサは非常に有用なのです。

一体型の環境センサ

地球環境

さまざまなセンサを一つにまとめ「環境センサ」として販売している商品もあり、いくつかの主要メーカーから販売されています。商品によって仕様は多少異なりますが、多くの場合、温度、湿度、照度、紫外線、気圧、騒音、加速度などを計測できるようになっています。

一体型センサのメリット

1台でさまざまな条件が計測できるため、複数のセンサを設置する必要がありません。また小型で、無給電動作、無線通信のできるものなどもあり、IoTに利用しやすいのもメリットです。

一体型センサのデメリット

商品の仕様により、必要ないデータまでも取得してしまうケースがあるのがデメリットです。また利用場面によっては、環境をモニタリングする以外の目的で、湿度や温度など、何かのデータを以前から取っているケースもあります。そのような場合にはデータが重複してしまいます。

まとめ

環境センサは、環境を把握するために使われるセンサの総称で、温度センサや湿度センサ、気圧センサやガスセンサなどの種類があります。

目的によって必要なセンサを組み合わせて使ったり、複数のセンサが一体となった商品を使うこともできます。IoTにより、従来は目視と手作業で収集していたデータを、ネットワークにつないで一元管理する目的でも、環境センサは注目を集めています。

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