IoTのアプリケーション連携|その必要性や活用事例について紹介

IoTでモノとネットワークがつながります。しかし、それだけでは、メリットは生まれません。

IoTにより収集されたデータを活用するためには、目的に合ったアプリケーションと連携させる必要があります。ここではIoTと連携するアプリケーションの種類や活用事例、メリットや注意点について紹介します。

目次

IoTで集めたデータは、その先のアプリケーションとの連携が必要

IoT

IoTではモノがインターネットにつながります。例えば、温度や振動を感じるセンサや位置情報を取得できるセンサなどがインターネットにつながり、その結果さまざまなデータをほぼリアルタイムで収集できるようになりました。

しかしそれだけではIoTは本当の力を発揮できません。IoTを十分に活用するためには、収集したデータの分析や、それを制御に生かすアプリケーションとの連携が欠かせないのです。

なぜアプリケーションとの連携が必要なのか

IoTにより、離れた場所からさまざまなデータが収集できるようになります。しかしここで注意が必要なのは、IoTによって集められるのは、最初は「ただのデータ」だということです。

学校の試験に例えるならば、生徒たちの点数が一覧になっているだけの状態と同じです。試験の結果を活用するためには、点数一覧を基に生徒を成績順に並べ替えたり、正誤の傾向から授業の効果を確認したりする作業が必要になります。

IoTで取得されたデータも同じです。IoTによって各種センサから得られた情報は、そのままではただの数値でしかありません。手作業での分析が可能なケースも存在しますが、多くの場合、得られたデータを分析したり活用したりするためには、それに応じたアプリケーションとの連携が必要になります。

IoTのアプリケーション連携を活用した開発事例

Iot

IoTとアプリケーションを連携させ、実際に活用している例をいくつか紹介します。

生産設備との連携で見える化

生産設備とIoTを連携させると、稼働率をデータとして取得し、機器の稼働状況を見える化できます。これにより、効率のいい生産計画を作成できたり、急な生産調整にも対応しやすくなったりするなどのメリットがあります。

例えば、工場内にある全ての生産設備の稼働状況を、ネットワーク経由で一目で確認できるようにします。これにより、従来は工場まで行かないと確認できなかった稼働状況が、離れた場所からもリアルタイムで確認できるようになります。場所の異なる工場、事業所の情報も一覧できるようになります。

さらに稼働率のデータを取得して分析し、停止率の高い設備が行っている加工や停止原因を解析することで、工程内のボトルネックの発見につなげた事例もあります。他にも専用のソフトと併せて生産設備とIoTを連携させ、異常の予兆を検知したり、製造される製品の不良の原因を推測したりするケースもあります。

自動車との連携で利便性の向上

近年では自動車をIoTと連携させるケースが増えています。より正確でリアルタイムの交通情報の取得や提供、地図情報と併せた自動運転などに使われています。

自動運転においては、道路の混雑状況や地図情報といったデータを、インターネットを介して取得し、車を運行させるルートの決定に活用します。

さらに今後は、街角の防犯カメラなどの情報から人の飛び出しを予測し、それらの情報をインターネット経由で車に伝え、車のコントロールや運転者への警告を行う構想もあります。

情報システムとの連携で経営力向上

社内の情報システムも、IoTと連携させるケースが多いアプリケーションです。システムから得られる在庫や経理状態などのデータを可視化できます。さらに社内用のタブレット端末からシステムに登録されているデータを閲覧・変更できるようにしているケースも多くあります。

社内の情報システムもネットワークの一つではありますが、閉じられたシステムになっているため、通常はそのまま外から閲覧することはできません。社外の取引業者が在庫を確認するためには、同じシステムを導入したり、電話やメールなどで確認したりしなければいけません。

情報システムをIoTと連携させることで、社外やタブレット端末など、社内システムが導入されていない場所からもリアルタイムで在庫情報が確認できるようになります。

IoTと連携される主なアプリケーション

IoT生産工場

続いては、IoTに連携されるアプリケーションにはどのようなものがあるか、代表的な例を紹介します。

生産設備

稼働率の見える化や異常の予兆検知などを目的として、生産設備と連携されるケースも多くあります。生産設備をIoTと連携し、全ての設備の稼働状況をネットワーク上から確認できるようにする他、生産計画の作成や稼働状況の効率化などの改善に役立てられます。

さらに生産設備のコントロールを遠隔で行うといったケースもあります。

AI

IoTを使って集めたデータを分析したり、判別したりするためにAIと連携するケースも多数あります。

例えば、機械の振動のデータをAIにより分析し、故障の前兆として現れる振動パターンを導き出します。これにより実際に故障が起きる前にその兆候を検知して、機械のメンテナンスを準備できたケースもあります。

IoTで収集されるデータは、リアルタイムに変化することに加え、膨大な量になるケースも多いため、分析や監視にはAIが活用されるケースも少なくありません。

ERP

IoTと連携されている実例として、社内情報システムを前述で紹介しました。ERP*との連携では、情報システムとの連携からさらに範囲を広げ、財務や注文情報、機械の稼働状況、在庫など、社内のあらゆる情報を可視化できるようになります。

これによって、例えば社外から自動発注できるシステムの構築ができるようになります。

ERP:Enterprise Resource Planningとは、企業の経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報を、適切かつ有効に活用することを目的として統合的に管理する手法や概念。多くの企業がこれを実現するためのERPソフトウェアを導入し、経営判断に活用している。

IoTとアプリケーションを連携するまでのプロセス

プロセス

IoTを用いて取得したデータを生かすため、アプリケーションとの連携を行う際には、次のような手順で計画を進めていきます。

収集するデータの決定

まずは、何のデータをどのように収集するかを決定します。現在の工場や事業所において「知りたい」「見えるようにしてみたい」項目を探し、それをデータとして収集する方法を決定します。

データ活用の仮説を立てる

実際にデータ収集の準備を始める前に、収集したデータをどのように生かすか、どのような問題が解決できるかの仮説を立てます。データの活用方法が決まったら、そのために必要なセンサを配置したり、それらをネットワークにつないだりするなど、データ収集の準備をします。

連携

収集したデータを目的に合った形で処理し、問題解決につなげるために必要なアプリケーションを選定します。そしてIoTとアプリケーションを連携させます。

IoTとアプリケーションを連携させる際の注意点

コスト

IoTをアプリケーションと連携させて活用することには、多くのメリットがあります。しかし一方で、さまざまなコストが発生するなど、注意点もあります。ここではコストの増加につながりやすいポイントを紹介します。

管理コスト

連携するセンサや機器、アプリケーションの数が増えると、それに伴って管理コストが増えてきます。IoTの強みを生かすためには、より多くのデータを得て幅広く連携させるのがポイントですが、やりすぎには注意が必要です。

通信費

IoTを活用するためには、常時モニタリングが必要だったり、多数のポイントからのデータを集める必要があったりします。それに伴い、機器にかかる費用だけでなく通信費も増加する恐れがあります。

システム構築のコスト

多くのデータやアプリケーションを連携させようとすると、システム構築にかかる資金もそれだけ必要になります。そのため、事前に収集するデータの決定やデータ活用の仮説などの要件をきちんと堅め、本当に必要な箇所や優先度が高いところを特定する必要があります。必要以上に手を広げず、スモールから進められるよう、目的をしっかりと認識しておくことが大切です。

まとめ

IoTではモノがインターネットにつながり、離れた場所のさまざまなデータが収集できるようになります。しかしデータを集めるだけでなく活用するためには、アプリケーションとIoTを連携させる必要があります。

IoTと連携するケースが多いアプリケーションとしては、生産設備や情報システム、ERP、AIなどがあります。また近年では自動車もIoTと連携するアプリケーションに加わりつつあります。

IoTとの連携は便利で多くのメリットがあります。ただし、予期せぬコストの増大を避けるために、事前の計画や目的の確認をしっかりしておくことが欠かせません。

問い合わせボタン
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次