事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
IoTとデータ分析を併せることで、さまざまなことができるようになります。ここでは、IoTとデータ分析の活用事例や活用までの手順、メリットなどについて紹介します。
IoTの登場により、モノとインターネットがつながりました。
センサから得られた情報が、インターネットを介して離れた場所からでも確認できるようになったのです。その結果、さまざまなデータがネットワークを介して得られるようになりました。
データの分析とは、IoTによって集まってきたデータを「使える」形にし、次のアクションに向けた仮説を立てることです。
得られたデータは、そのままではただの数値的な記録でしかありません。また、IoTで集まってくるデータは、いわゆる「ビッグデータ」といわれるような、膨大な量になります。
データはそのままでは役に立ちません。たくさんのデータを生かすためには、データを精査し分析しなければいけません。
IoTとデータ分析を組み合わせると、さまざまなことができるようになります。ここでは実際にデータを分析し、IoTを生かしているいくつかの事例を紹介します。
工場でワークの加工機に振動センサを取り付け、加工機の振動を常に監視します。得られた振動のデータを分析したところ、ツールが破損する直前に特定の周波数の振動が増すことが発見されました。またこの振動には特有の増幅パターンがあることも分かりました。
そこでAIを用いて特定の周波数の振動がしきい値を超えたり、特有の増幅パターンを検知したりした際に、管理者に通知する仕組みを作りました。これによりツールが破損する前に交換できるようになり、ツール破損による仕掛品の破棄や、計画にない機器のメンテナンスが避けられるようになりました。
品質管理部門において、出荷する製品を全数目視検査していた工場では、不良と判断された製品の画像データを蓄積させました。このデータをAIに分析させ、不良と判断されるパターンや形状を割り出しました。さらにその結果を機械学習させ、画像診断による検査を自動化したのです。
これにより、目視検査に必要とされていた作業員の人件費を削減できたほか、ミスによる不良品の流出もなくなりました。さらにIoTと併せて活用したことで、納品先からも容易に検査結果が確認できるようになり、トレーサビリティの確保にもつながりました。
なかなか原因が特定できない不良が発生していた際に、IoTを活用したデータ分析により、これを解決した事例もあります。
このケースでは何が不良の原因になっているか分からなかったため、加工機周辺の温度や、加工機の各部位の温度や振動、加工機を動かすモーターのトルクなど、さまざまなデータを同時に取得しました。
収集されたデータを、不良の発生タイミングと併せて、どのデータが不良の発生に関連しているかを分析したところ、特定の部位の温度が上昇し、モーターのトルクが下がった際に不良の発生が増加しているのが分かりました。
そこで温度の上昇が見られた部位とモーターのトルクのデータを調査したところ、温度上昇がモーターのトルク不足を招き、それが不良発生につながっていたことが分かりました。
IoTで収集したデータを活用するまでの流れは、おおまかに次の4ステップに分けられます。ポイントを踏まえて順に説明します。
まずは各種センサを活用し、さまざまなデータを集めるところから始めます。工場や事業所には機器の稼働状況や、振動、騒音、温度、人やモノの位置など、さまざまなステータスがあります。課題を解決するためには、何のステータスをデータ化するか検討するところから始めるといいでしょう。
またこの際には、どのようなデータを、何のセンサを使い、どうやって取得するかも、事前にしっかりと確認しておく必要があります。さらに、集まったデータをどのように使えば課題解決できそうか、事前に仮説を立てておくと、その先の分析や活用がスムーズに行いやすくなるでしょう。
必要なセンサを設置し、ネットワークにつないだら、IoTによるデータ収集を開始します。
続いては集めたデータを保存します。多くの場合は、後の分析で使いやすいよう、データは時系列で保存します。まずは一定期間データを蓄積し、分析の土台を作ります。
例えば機械の振動から異常を検知したいときや、自動搬送車の異常停止を検知するなど、通常と違う状況を検知したい場合には、システムに正常な状態を学習させなければいけません。また、人やモノの動きを分析したい場合にも、現在の平均的な状態を知るために、ある一定期間のデータが必要です。
このような理由から、IoTで集めたデータは保存し蓄積しておきましょう。
集められたデータを目的に合わせた切り口で分析します。分析の方法として、図や表にして視覚的に分かりやすい形にしたり、マップ上に表示させたりするなど、可視化する方法があります。また、収集されたデータを平常時と異常発生時に振り分け、比較するのも多く用いられる手法です。
収集されたデータの分析は、人間が手動で行う方法もありますが、近年は専用のアプリケーションの他、AIや機械学習が活用されるケースも多くなっています。IoTによるデータ収集は、複数のポイントを常時監視しているケースも多いため、データの量が膨大になりがちです。そのため、アプリケーションやAIなどを活用して効率よく分析することも事前に検討しておくといいでしょう。
分析された結果を活用します。活用の方法はさまざまです。生産設備の稼働率や人やモノの場所を表示するなど状況を可視化するケースや、人やモノの動きから作業のボトルネックになっている場所を見つけるような問題点の抽出が行われるケースもあります。さらに分析された結果を用いて機械学習による自動化を行ったり、作業の効率化が行われたりするケースもあります。
データの収集を始める際に設定していたゴールに向けて、集まったデータを活用して改善を行います。
IoTで取得したデータを分析するメリットはさまざまです。しかし特に多く見られるメリットには次のようなものがあります。
IoTを用いたデータ分析や活用のメリットとして、最も多く挙げられる項目の一つが、状況の可視化です。生産設備の稼働状況や、人やモノの動きなどが可視化できます。
IoTの強みの一つに、離れた場所にある複数のデータをネットワークを介して一括で表示できる点が挙げられます。さらにその際に、データを可視化という形で分析すれば、より視覚的に分かりやすくなります。これにより、従来はカンコツに頼っていた部分を可視化できる場合もあり、社内での作業の標準化や技術継承が行いやすくなります。
設備や機械の自動化、自律化のためには、平常時の状態や、人が常時行っている作業などを機械に学習させる必要があります。
IoTを用いたデータ分析を行えば、平常時のデータの収集に加え、どのような状態が異常に該当するのかがデータとして得られるため、機械学習に必要なデータのベースが作れます。これにより、より精度やレベルの高い自動化や自律化が行えるようになります。
IoTによって取得される大量のデータを常時モニタリングするのは、人間には難しいです。しかしモニタリングを行う前にデータを分析し、アラートを出す基準や異常値が出た際の対応などを設定しておけば、システムによる常時モニタリングが可能になります。
IoTデータ分析を行う際、AIや機械学習は必須というわけではありません。しかし、IoTを活用したデータ分析では、常時モニタリングや複数箇所モニタリングなどが当たり前のことが多く、データの量が膨大になりがちのため、手動での分析では難しいケースも少なくありません。
そのような場合には、AIや機械学習が生かせるケースもあります。AIを使えば常時モニタリングも行いやすくなり、IoTによるデータ分析をさらに高度に生かせるケースも多くなります。
近年ではAIや機械学習はシステムやソフトウェアに組み込まれていることが増えています。IoTだけでなく、それらの支援ツールも併せて活用していくことで、IoTやデータ分析のメリットをより実感できるようになるでしょう。
分析とは、IoTによって集まってきたデータを「使える」形にし、次なるアクションにつなげるための仮説立てをすることです。
IoTで収集したデータは、そのままでは使えないため、それらを活用するためにデータ分析を行い、課題解決の足がかりにします。データ分析により、現状の可視化や予兆検知、不良解析、自動化などが可能になります。
またIoTによって取得されたデータの分析にはAIが活用されるケースも増えており、大量のデータを一度に分析したり、特異的な傾向を発見したりする際などに活用されています。