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- DX推進/IoT開発事業
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近年、さまざまな場所で工場のIoT化というキーワードを耳にします。IoT化できる機器やシステムも増え、それらの導入をサポートするサービスも増えてきました。とはいえ、IoT化がなかなか進まない現状もあります。この記事では、工場のIoT化における課題について解説します。
工場のIoT化は、工場にある全ての設備の稼働状況がひと目で分かるようになったり、工場内のボトルネックを解消したり、生産性の向上などに使える非常に便利なものです。しかし一方で導入や運用にあたっては、さまざまな課題があります。
そもそもIoTとは、モノとインターネットをつなぐことを意味します。日常生活においては、スマートフォンを用いてコントロールできる照明やエアコンなどが挙げられますが、工場においては、生産設備や各種センサ類などをネットワークと接続するのが一般的です。
工場におけるIoT化の例としては、工場内にある生産設備の稼働状況を、ネットワークを通して遠隔で確認できるようにした事例があります。これによりトラブルにより早く気付けるようになったり、生産計画が立てやすくなったりするなどの効果があります。
IoT化における課題にはさまざまなものがあります。しかしこれを分析していくと、主に人に関連する課題と、それ以外の課題に分けられます。
人に関連する課題とは、つまり人材です。IoTの導入にあたっては、IoTを活用するシステムを構築し、必要な機器を設置してセッティングするなどの準備を行う人が必要です。また実際にシステムを運用したり、メンテナンスをしたりする人も必要になります。つまりIoTの導入にあたっては、IoTを動かせる「人」が必要になるのです。
組織内の誰もが、IoTに必要な知識やスキルを最初から持っているわけではありません。そのため、新たに人を採用したり、場合によっては社内教育したりするなどの対策が必要です。また人材を育成する場合など、課題解決までにある程度時間が必要な場合もあります。
人以外での課題については、IoTを導入するにあたって必要になる機器の費用や、サーバーやネットワークの維持費、IoTシステムのセキュリティ対策などの課題があります。前例や類似事例から解決策が見つかることは多く、人に関連する課題に比べて解決までの時間が短く済む場合が多いようです。しかし一方で、課題を解決するためには予算確保が必要になる場合が多くなります。
ここからは人に関する課題と、人以外の課題についてそれぞれもう少し詳しく解説していきます。
人に関連する課題の具体例や解決策を紹介していきます。
IoTのシステムを管理できる人材とは、システムの構築やメンテナンスに加え、トラブル対応などが行えるスキルを持った人材のことです。IoTを導入する際には、モノとネットワークをつないだシステムを作らなければいけません。そのため、まず工場のIoTシステムを構築する人材が必要になるのです。
またIoTシステムを使っていれば、メンテナンスやトラブル対応ができる人材も必要になります。システム関係に強い企業に外注するか、社内の人材を教育して育成するなどの対策が必要になります。
せっかく工場にIoTを導入しても、それを適切に運用できなければ意味がありません。
例えば部品の保管棚に在庫管理用のIoTを導入した場合、入庫数や出庫数の入力が必要になります。それには、工場で働く作業員に、IoTを使い活かすための手順を教育し、守ってもらわなければなりません。
IoTに対応した新しい作業手順を用意して作業員を教育し、さらにそれが正しく実行されるような仕組みを整える必要があります。
近年ではそのような教育を外部の企業が請け負うサービスも出てきていますので、社内で教育を行うのが困難な場合には外部サービスを活用する方法もあります。教育要求を事前に定義しておけばテスト段階、または稼働段階で外注に教えてもらえます。
工場にIoTを導入しても、導入しただけで満足し、その先につながらないようでは意味がありません。IoTを導入して得られた結果や、IoTによって収集されたデータを分析し、改善を行わなければいけません。
そのためには、システムから適切にデータを吸い上げ、それを正しく分析できる人材が必要です。システムと工場の運用の両面に詳しい人材が必要になるため、社内教育などで育成する必要があります。
また近年ではIoTでデータを吸い上げ、AIで分析を行うケースも増えています。
人以外の課題の具体的な例と解決策を紹介していきます。
工場にIoTを導入する際には、さまざまな機器や設備が必要になります。例えばこれまで使っていた計測機器をIoTに対応したものに変えたり、これまで使っていた機械にセンサを取り付けたりします。
また通信を支える通信ケーブルの配置や無線の設置、サーバーの準備といったハード面での準備が必要になります。機器とネットワークをつないだり、得られたデータを見やすい形でインターフェースに表示するシステムなど、ソフトウェア面での準備も欠かせません。有形無形のさまざまな機器が必要になります。
工作機械や作業用ロボットがメンテナンスを必要とするのと同じように、IoT向けの機器もメンテナンスが必要です。IoT機器の場合、機械としてのハード的なメンテナンスに加え、ソフトウェアのメンテナンスが必要になります。
IoT化にはさまざまなコストがかかります。機器やセンサの購入、設置のような物理的なものの購入費用だけでなく、ネットワークやシステムの構築、メンテナンスなどにもコストがかかります。さらに機器の修理やそれを使う人の教育費など、運用に当たって発生するコストも無視できません。
コストの課題における解決策は、工場のIoT化はただ機器を導入して終わりではないことをはじめから意識しておくことです。後から慌てるのではなく、コストがかかる部分をあらかじめ正確に把握して予算を組むことが大切です。
IoTでは工場にあるものがネットワークにつながります。そのため外部から攻撃を受けたり、情報を流出させたりしないようにセキュリティ対策が必要になります。万が一、外部からネットワークを介した攻撃があったりすると、安全が確認できるまで工場内の設備を動かせなくなったり、機密情報が漏洩したりする恐れもあります。
またセキュリティに関しては機器を扱う「人」の教育が必要になるケースもあります。例えば重要なパスワードを見えやすい場所に保管しないことや、設備のある部屋の施錠など、事後が起こらないようなオペレーションを考え、実施しなければいけません。
これまで述べてきたように、工場のIoT化にはさまざまな課題があります。しかしやはりIoT化のメリットは多く、課題を乗り越えながらIoTを導入していった企業も少なくありません。ここでは工場をIoT化するメリットを紹介します。
IoTによって工場の状況が可視化されることにより、業務改善ができるようになります。また工場にある機器の稼働状況が分かるようになれば、現場作業の効率化や、生産計画が立てやすくなるなどのメリットがあります。
IoT化によって、工場の省人化や作業の標準化ができるようになります。
例えば機器の監視であれば、従来は機器の側に人を配置し、その人を使って監視していました。しかしこのような業務を、設置したカメラから送られてくる画像を確認するようにしたり、機器に取り付けたセンサから送られてくるデータによって、遠隔監視で自動化できるようになったりします。
またカンやコツに頼っていたものを、IoTの使用により数値化できるようになるため、作業の標準化にも役立ちます。
在庫の管理や作業内容などをIoTによってサポートすることで、ミスの撲滅につながります。人はどんなに注意しても間違いは起きるため、人の手による作業ではミスを撲滅できません。しかしIoTの導入により作業を自動化したり、IoTで人による作業をサポートしたりすることにより、ミスなく作業できるようになります。
工場のIoT化は非常に便利なものですが、実施にあたってはさまざまな課題があります。そのうち一つが人に関係するもので、IoTのシステムを管理できる人や、入手したデータを分析できる人が必要になります。もう一つはIoTに対応した機器や設備を導入したり、ネットワークの維持を行ったりするなど、人材以外の課題です。