事業内容
- DX推進/IoT開発事業
- AI/ROBOTICS開発事業
京都市を中心に約8,000社のお客様とやり取りがある、貸しおしぼり業の老舗「株式会社京都カネヨシ様」と、おしぼりの自動展開ロボットを共同開発しました。
当該装置の導入を起点とした省人化を図り、従業員はより付加価値の高い業務へと促すといった取り組みによって、工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を狙います。
独自のAIアルゴリズムを搭載したロボットが、洗浄後の大量のおしぼりを、1枚ずつ高速に展開・検品を行います。こちらのロボットは既存のラインに導入可能な、人の肩幅サイズを実現しました。
人の手先感覚を必要とする”濡れた布を扱う作業”は難しいとされていますが、機械にて把持(はじ)することを可能にしました。また、しわ・よれがあっても人間同様の速度で展開し、検品処理を行います。
※当案件で自動化する工程
飲食店や各種施設から回収された使用済みの布おしぼりは、洗浄や殺菌の工程を経て、再び出荷するためビニール包装がされます。包装機は、一般的に”タオルホルダー”と呼ばれており、おしぼりを丸く畳んだのち、ビニール包装を行います。
タオルホルダーへのおしぼり投入は、雑多に積まれた山から、ひとつひとつ手に持ち、展開した状態で行わなくてはなりません。この際、汚れがきちんと落ちているかどうかの検品も、表・裏と目視確認が必要です。従業員はこの工程を1枚あたり3.5秒の間隔で行わなくてはなりませんでした。
前述した、布おしぼりの展開・検品・投入という作業工程は、従来、機械化が難しいとされていました。
要因としては、主におしぼり洗浄後の状態にあります。雑多に積まれており、形状や汚れ具合などが千差万別である点から、ソフトウェア・ハードウェア両面でどんな場合にでも対応できる処理を確立しなくてはなりません。
一見単純作業に見えますが、その千差万別である点が、湿った布類を展開する作業や表と裏両方を数秒で検品する作業の機械化のハードルを大きく上げています。
今回は、これらの課題をクリアし、社会実装へと辿り着くことに成功しました。
機械化のハードルが高く、避けられてきた領域を、「AI×ハードウェアの融合」という自社の専門領域を活かし、解決に導きました。
AIソフト・メカ・エレキなど、開発領域すべてをイチから自社開発で行うことで、柔軟な改善サイクルを構築しています。そのほか、自社の量産化技術を活かし、工場への複数台導入にも対応できる設計やロジスティクス体制も構築しています。
キーワード:AI、ロボティクス、ピッキング、外観検査、検品、おしぼり、リネン、繊維
今回は、当該案件に関する想いや背景などを、株式会社京都カネヨシ、代表取締役の中塚様にお伺いしました。
ご回答者
株式会社 京都カネヨシ
代表取締役社長 中塚 様
インタビュー担当
株式会社ASTINA
メカマネージャー 林
最近は人が集まりづらいと悩んでおり、採用に課題を感じていました。
昔は無料でハローワークの募集をかけると、たくさん応募をいただいて、選考をしていました。しかし、今では有料広告を出さないと採用ができず、広告費もかかってしまうのです。
また、有料広告を出したとしても、思ったようにたくさん応募は集まりません。一回の募集ではまず集まらない。3~4回募集してやっとです。そのような状況下で、工場のラインが空いてしまい、稼働ができなくなるのでは?と懸念していました。
そのほか、毎年最低賃金も上がっています。毎年27円、10年で250円も。それに応じて、社会保険料負担も上昇しますから、ますます採用のハードルは高くなっています。
人件費や燃料費が高騰していく中で、事業継続のために決意しました。
昔はパートさんの時間給とレンタルおしぼりの単価が合っていたんですよ。しかし、最近は最低賃金の件もそうだし、燃料費だって昔に比べて20~30%あがり、コスト面で見合わなくなってきました。
これまで、燃料費・人件費アップに伴い、レンタルおしぼりも値上げしてきたんですよ。ですが、おしぼりの商品の特性的に、絶対に必要か?と言われればそうでもないし、使い捨ての紙おしぼりでも代替できるじゃないですか。
サービス商材であり、使用するお店がどれだけコストをかけられるか。なので、料金にも上限があるし、お客さんとの関係性もあるので、頻繁に値上げはできないです。そこで、機械に頼ることはできないか?と考えました。
アスティナが求めていた技術を既に持っている、と分かったからです。
実は過去に別の会社で、チャレンジをしようとしたのですが、入り口の部分で「難しい」と言われて全く進まなかったことがあります。あとは、同じような会社に依頼しようとしたが潰れたところもあります。
そんななかで、どうやらアスティナは「衣服の形を認知して畳む技術がある」というのを知って、今回のおしぼりにも応用できないかと考えました。
人と同等の品質を追求し続けたという点ですね。
装置を入れる以上は、これまでと同じ・またはそれ以上の品質が欲しいと考えています。ひとつひとつの処理時間やコーススピード、検品の品質や、コンパクトさですね。
こういった品質を追求するなかで、コロナが流行しはじめて売上が減少するなかで、続けていく不安もあり、一時期はやめてもらおうか悩んだこともあります。
別会社で断られたことを引き受けてくれる技術力があるのがよかったです。
AI画像処理の能力とロボット開発の技術があると思いました。
アスティナは人材が若くて、柔軟で、こちらの意見を聞いてくれる。クライアントの本当のニーズも掴んでくれますよね。渡した要望を、物理的に組み上げて、一気通貫でシステムインテグレートできる点が優れていると思います。
まずは装置導入によって、生産性の向上をするところからです。
装置の導入を起点にして、コストの削減、労働力の確保をしていきたいと考えています。導入・運用によって、成功したら新しく工場を立てて、モデルとなるような、貸しおしぼり工場としていきたいです。
中塚社長、インタビューありがとうございました。
ご依頼の背景から方向性など、詳細な部分までお伺いできましたので、今後装置開発を検討される企業様のご参考にしていただけますと幸いです。